己と女郎蜘蛛。

前回、反応してくれた鴫ちんに感謝しつつ、深山さんの姉様ではないほうの初音について、その後を語ってみようかと。えー、一応言い訳だけしておくと、はじめから後編は比良坂さんのつもりでしたよ?

さて、あれからすでに2週間経っていることに戦慄を禁じ得ないんだけど、とりあえづ、iPodで通勤中にちゃんと聞いたら1日で分かった。VOCALOIDって、決定的に情報量が少ないんだ。ツールとしてのVOCALOIDを使ったことないので、どれくらいのデータ量なのかは知らないんだけど、同人系でよくある「一聴してすぐ分かるフリーもしくは安価なVSTi」以下の“薄さ”っつったら通じるかね? ひどい曲だと、結構まともなコーラスデータ使ってたりして、結果、

コーラス>>>>(越えられない壁)>>>>曲>>初音ミク

っつー、トンデモ極まったバランスになってる。声量の乏しさに定評のあるよしこさんとか、同人系の一部にある、「ああ、訓練してないんだろうな」っていう歌い手さんとかの存在感が、相対的に高く思えるほど。

ビットレートで、全部が丸まっちゃったり、あるいは出力周りがへちょかったりすると気にならないかもしれないけど、CD-DAを、そこそこマトモなシステムでかけると、ボーカルが持つ、存在感の希薄さだけが目立つというか、薄いからむしろ目立たなすぎというか。曲のレベルを調整して、違和感を減らす努力してる作り手さんもいるけど、ここまでメインボーカルの存在感が希薄だとどーにもならないよね。

……と、そういう分析を進めていった先に見えてくるのは、己が抱えているどうしようもない違和感っつーのが、「なんでその曲に、三流以下のボーカルを乗せるの?」という、素朴な疑問に立脚していること。

国歌なんておこがましいし、神曲とか寝言ですかと言わざるを得ない一方、前回も指摘したように、声優系のポップスと同等のものとして評価すれば、水準を大きく超えた曲は少なからず存在してる。定番で話をするなら、やっぱり「メルト」とかはよくできてるわけですよ。

でも、だからこそボーカルのダメさが浮き彫りになってる。もっとはっきり言うと、「ツラとプロポーション以外、なんの取り柄もない駄アイドルを、無理矢理スターにしようとしている感」が鼻に付きすぎる。VOCALOIDを使い込んでいる人たちの何人かはそれに気づいてて、だからこそ最近、VOCALOIDで名を馳せた作り手が、一部“人肉”を使い始めてるんだろう、っつーのは邪推が過ぎるかもしれないけど、でも、「メルト」をはじめとする初音ミクの代表作って、「歌ってみた」系のほうが、よほど全体のバランスがいいんだ。これが。

というわけで、個人的には、「なんで現行世代のVOCALOIDにこれっぽっちも魅力を感じないのか」がすっきりして満足。技術としてユニークかつ面白いのは間違いないので、今回の実績と反省を踏まえた次世代、次次世代を楽しみにしつつ、せっかく作り手さんの名前とかサークル名とか憶えたので、当面は、そういった人たちが、一定水準を超えた同人系(じゃなくてもいいけど)の歌い手さんと組んで、よりよい作品を作っていくことを、場末から応援したりしなかったりしていようと思います。

ええとまあなんだ、初音ミクを窓から投げ捨てろ。